妊娠とキャリア:母性保護と社会の性差を踏まえた9つの悩み

妊娠とキャリア両立に不安を抱える女性と社会的支援のイメージ

「妊娠したらキャリアはどうなるのだろう?」
多くの女性が、妊娠をきっかけにこれまで当たり前だった働き方や将来設計に不安を抱きます。体調の変化や社会的な期待、職場環境の影響が重なり、悩みは複雑になりがちです。

そこで本記事では、母性保護の視点社会的性差と生物学的性差の違い、そして女性ホルモンの変化を踏まえながら、妊娠とキャリアの場面で直面しやすい9つの悩みを整理します。

妊娠とキャリアで必ず直面する9つの悩み

1. 仕事の継続 vs 休業/辞職

妊娠後も働き続けるか、それとも休むべきか。母性保護制度は「キャリアを守るため」にありますが、しかし実際には「辞めるのが当然」という社会的な空気も残っています。制度を利用すること自体がキャリアにマイナスと受け取られることもあり、悩みを深くします。

2. 体調との両立

女性ホルモン(エストロゲン・プロゲステロン)の変動により、つわりや倦怠感、情緒不安定が生じるのは自然なことです。つまり本人の努力で克服するものではなく、業務調整や周囲の理解が欠かせません。

3. 職場の理解・支援体制

妊娠を「自己責任」と捉える文化が根強いと、制度があっても使いにくい環境になってしまいます。そのため、産休・育休・時短勤務・在宅勤務などを安心して活用できるかどうか、マタハラ防止が徹底されているかが重要です。

4. キャリアの停滞・後退

「妊娠でキャリアが止まる」という社会的偏見は依然として強く、昇進や能力開発の機会が制限される不安があります。しかし本来、母性保護はキャリアを守るための仕組みであり、制度利用=キャリア後退ではないはずです。

5. 収入・経済的安定

出産・育児で収入が減る可能性は大きな不安です。出産手当金や育休給付金など制度的な支えがあるものの、それでも十分に理解されていない場合も多く、不安を大きくします。

6. 育児との両立

母乳育児や夜間対応など、生物学的に母親への負担が大きくなりがちです。したがって社会的に保育制度や時短勤務制度が整っているか、パートナーや職場と役割分担できるかが、キャリア継続のカギとなります。

7. パートナー・家族との役割分担

「母性中心」の役割分担が当然視されやすいのは社会的性差の表れです。男性の育休取得や家事分担が十分でなければ、女性のキャリア継続が困難になってしまいます。その結果、キャリアをあきらめるケースも生じます。

8. 自己のアイデンティティ/価値観の変化

ホルモン変化による気分の揺れに加え、「母であること」と「働くこと」の間でアイデンティティが揺らぐことがあります。とりわけ、この時期に人生設計を再考し、何を大切にしたいのかを見直す人も少なくありません。

9. 再出発(キャリアの再設計)

出産を機に転職・起業・副業など、キャリアを新しく築き直す選択をする人もいます。これは柔軟な生き方の広がりでもあり、同時に「継続できる環境が限られている現実」の裏返しでもあります。

母性保護の本来の意味

母性保護制度は「女性が弱いから守る」ためではなく、「妊娠・出産が生物学的に特有の負荷を伴う」ために整備されたものです。したがって本来はキャリアを守り、次のステージへつなげるための仕組みです。

妊娠とキャリアの悩みは、生物学的な性差(ホルモンや身体変化)と、社会的な性差(ジェンダーバイアスや役割期待)が重なり合って生まれます。
大切なのは、

  1. 制度を正しく活用して身体とキャリアを守ること
  2. 家庭や職場で役割をシェアすること
  3. 自分自身の価値観を再定義すること

妊娠・出産は、大きなライフイベントであるとともに、キャリアや人生を見つめ直し、新しいキャリアを再設計する節目でもあります。

一人で抱え込まないために

妊娠やキャリアの悩みは、とても個人的でデリケートなテーマです。だからこそ、一人で抱え込まず、信頼できるサポーターに相談することが大切です。

  • パートナーや家族
  • 産婦人科や自治体の相談窓口
  • キャリア相談員や退職・転職支援の専門家
  • 同じ経験を持つ仲間やコミュニティ

こうした「ソーシャルサポーター」に頼ることで、不安が軽くなり、解決の道が開けます。

そして、私たち「リスタート退職サポート」も、あなたのキャリアとライフの再スタートを支えるソーシャルサポーターです。
妊娠や出産をきっかけにキャリアに不安を感じたとき、安心して相談できる場としてぜひご活用ください。

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成瀬 まい(women_editor)
キャリア支援の実務に10年以上携わり、転職支援・キャリア相談・女性の働き方の課題に向き合ってきました。一児のワーキングマザーとして、妊娠・復職・保活・時短勤務など、女性が直面しやすいキャリアの壁も自身で経験。丁寧な対話で思考を整理し、無理なく続けられるキャリア設計と選択肢の提示を大切にしています。

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